2012年5月30日水曜日

悪意

5月29日(火)天気:雷雨
担当:高杉征司

よりによって雷雨。
もっぱらバイク移動の私にはこういう悪天候は、出所はわからないが確かに私に届いた悪意と受け取っている。それ見たことか、稽古場についた時にはパッシャパシャに濡れていた。それどころか道中カミナリが一回軽く当たったような気がする。まだ身体の芯が少しジンジンする。

25日の稽古の際、訳あってみんなでお互いにニックネームをつけあった。その人の良い所に由来するものを一つ、その人の悪い所に由来するものを一つ、その人の名前に由来するものを一つ。各人がみんなにつけてもらった三個のニックネームを有するしだいとなった。
そのニックネームを矛に、また俳優のプライドを盾としてゲームの大海原へと漕ぎ出(いだ)したのだが、私が興味をソソラレタことはゲームも終わった雑談の中に潜んでいた。

「デラガミ」
「ミッサージ」
「パラリラ」
「ムチワギ」


全員、自分の悪い所に由来してつけられたニックネームがフェイバリットだと言うではないか!?
申し合わせたかのように、全員が・・・。
ほのかな悪意が、悪意であるが故に親しみに変わる瞬間を目撃したのだ。


今日29日の稽古で、私はいくつかの悪意の種をばらまいた。
今後の稽古の中で何が収穫されるのか、近々この稽古場ブログでお知らせできると思う。
やはりまだ身体の芯がジンジンする。

2012年5月28日月曜日

柏木演出ノート1


5月28日(月)  天気:はれ  担当:柏木俊彦

演出ノートとは?
正解は分からぬまま、稽古の日々を綴り、しかし演出の輪郭が見えるよう5.28挑戦してみようと思います。


201243日(火)4日(水)
京都にて、顔合わせと柏木チームのプレプレ稽古を行いました。
   プレ稽古の前にするので「プレプレ稽古」と名付けました。

プレプレ稽古では、私が稽古をしていく上で大切にしている事を伝えていくための時間にしました。
2日間、脚本を読まず、ほとんどゲームや雑談ばかり。

この現場では「自由に発言しよう、自覚しよう、アイディアを出そう、恥をかいていこう、正直でいよう」を推奨します~という、
啓蒙運動です。
その代り、逆にそれに伴う義務と責任を負うのです。私も含めて。
これを怠るときついダメが入るわけです。私もダメ出しされます。

途中からは、NIWAさんのワークもしました。

NIWAさんが進んでワークを提案してくれて、今井さんが恥を恐れずに真摯に取り組んでいたのは、
正直、場への影響が大きかったと思います。

高杉さんの顔が、真剣になっていきます。
触発されたか?鈴木さん、崎田さんも。

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以下、プレプレ稽古の感想をキャストより頂きました。


(高杉征司)
「ワクワクしながら手を叩かせてよ。」
某氏の言葉を借りて、演出は俳優にそう語りかけた。とても印象的な言葉だった。一度の稽古の中で、合図として何度も打ち鳴らされる演出の手。そのほとんどが期待に満ちた音だったら。俳優の自立、創造性、惜しみない努力、当たり前の事が当たり前に求められる厳しい現場だと感じた。
そして、徹底的な話し合い。自己紹介、雑談、テーマトークと形を変えて、話す事、そして聞く事を求められる。自分を知る、他人を知る、作品を知る目論みの中、異質な5人が少しずつ融和していくようで面白かった。
和やかな稽古を通して一度も途切れなかった緊張の糸。求め合い。試し合い。
私も、誰よりもワクワクして稽古場にいこう。


(崎田ゆかり)
正直に打ち明けると、まずいなぁと思っています。このままだと置いていかれる!と感じているのです。もっと積極的に参加しなければ、ぼぉっとしている間に終わってしまいそうです。もっと考えて、それをうまく伝える方法を模索しなければ。私にできること、私にしかできないことを私らしく、刺激を受けつつも悲観し過ぎないように。何よりワクワクする気持ち、楽しむことを忘れずに取り組みたいなと思います。
皆さんの印象。柏木さん:優しく厳しく素直な人。美佐穂さん:秘密めいた空気感漂う女性。NIWAさん:気さくで面白い未知なる人。高杉さん:優しく鋭いおじさま。鈴木さん:全く読めない器用なウェイター。


(今井美佐穂)
一日目の顔合せは心地良い緊張感から始まった。
企画・制作サイドからの企画内容や公演概要が話され、自己紹介を交わし、公演に向けての意識が高まった。
柏木組と筒井組からもざっくばらんに質疑応答がされ、この企画は戦いではなく、観る側も作る側も切磋琢磨しながら高みを目指す創作の場という共通見解が持たれた心地良い場だった。

2
日間に渡る稽古について。
先日ある大学の先生と教育について話す機会があり、そこである発見があった。
良い教育とは、生徒が自発的に学びたくなる場(土壌)を作ることではないか。
一方的に教えるのではなく、自発的に発見や探求心が生まれ、そして生徒同士が協力し合あって学んでいく方がより良い学びが得られるのではないかと。
これは非常に興味深く、2日間の稽古場でこのことが起きていたのだと私は思う。
つまり演出の柏木さんは、役者が自発的にトライできる場(土壌)を創ったのだと。
お互いを知り合い、挑戦し、発見が生まれ、より良いものを創るため探求し合う。
心地良い緊張感と創作する楽しさを感じた2日間だった。
次回の稽古が楽しみだ。
 
(鈴木正悟)
アプローチがとっても丁寧だなと。柏木さん自身が考えていることを、誤解のないように、慎重に伝えようとしているのだなあと感じました。初めて一緒に創作する上で必要な共通言語を「一緒に作りましょう」という姿勢に感銘を受けました。
誤解を恐れずにいうと、全てを「面白がる」ことを一番大切にしておられるのではないかとおもいました。
番までの道のりワクワクしてます。



NIWA
共演する方々やスタッフの方々と交流できて良かったと思います。
私は遅れて参加するのでメールなどで稽古の進捗を確認しながらちゃんとセリフを入れて参加したいです。メンバーが納得できる内容で初日を向かえられたらいいなあ。楽しく稽古したいです。
ワークショップはいつでも受け付けます。
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4月中旬~5月初旬に、東京組の自主稽古に、私も参加しておりました。
京都組は、高杉リーダーのもと自主稽古を行ったとの噂を聞きました。


2012512日(土)13日(日)
京都にて、プレ稽古を行いました。
筋トレをしてみました。
脚本に関するインタビューを4時間キャストに行いました。
そして、各々がワークをファシリテイトするというワークをしました。
ユニークな時間が流れ、自主性が稽古場に蔓延してきたようで嬉しく思います。
しかし脚本が手強く、525日からの一カ月が、やはり正念場とみんな自覚したプレ稽古でした。



5/25より、京都滞在にて本稽古始まっています。
次回の柏木演出ノートは、6/4(月)予定です。

2012年5月27日日曜日

はじめまして。(演出・筒井)


5月27日(日)天気:はれ
担当:筒井加寿子


はじめまして。

『建築家M』にもうひとりの演出家として参加させていただきます、
筒井加寿子と申します。
よろしくお願いいたします。

以前から田辺さんの脚本を一度演出してみたいと考えていまして、
今回やらせていただこうと決めた理由はそこに尽きます。

なぜ興味をひかれたのか最初のうちはよくわからなかったし、
3月に個人的に参加した試演会で田辺さんの作品を上演したときも
そこらへんまではよくわからなかったのですが、
今回稽古に入る前に脚本を読みながら考えたり、
稽古がはじまってから俳優・スタッフと作品について話をするなかで、
自分がふだん気になっていることと脚本に書かれていることが
つながる部分があるからかもしれないな、といまは思います。
その問題が「これです」とここで言ってしまうと
作品がとても不自由になりそうな気がするので、
それが何であるかについては書かないでおきますが…。

これからの創作過程のなかで
そうした思いをどれほど作品のなかに反映させ、
しかもそれが自分たちのなかだけで
終わらないところまで持っていけるのかわかりませんが、
そうした思いを大切にしつつ、
あせらずじっくりな稽古の時間を過ごしていきたいと思います。

すでに稽古のほうは始まっています。
いままでとすこし違うプロセスですすめているので、ちょっと怖いです。
でも、この「ちょっと怖い」があるくらいが、
ちょうどいいのかもしれません。

今後、このブログにキャストの皆さんからも
稽古場のようすがレポートされていくと思います。
よかったらちょいちょいのぞいてやってください。
よろしくお願いします。

筒井加寿子







2012年5月26日土曜日

ごあいさつとここまでの話


5月26日(土)  天気:はれ  担当:柏木俊彦

こんばんは。そして、はじめまして。
『建築家M』の演出を担当する柏木俊彦です。
どうぞよろしくお願いします。

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今回の企画は、演出家が2名います。
筒井加寿子さんと柏木。
「筒井チームと柏木チームに分かれ、田辺剛さんの新作を同時上演する」
これが肝です。ここを逃すと、迷走します。
1つの作品を2名以上で演出する、海外ではあるようです。
しかしこの度は、「1回の公演で筒井演出と柏木演出の2作品を上演する」という試みです。
俳優も筒井チームと柏木チームは別です。稽古も別です。
という訳で、別々の稽古場日記になるわけです。
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柏木の『建築家M』へのここまで。
昨年201111月に、京都舞台芸術協会プロデュース2012の演出家コンペディションが開催、
直感で挑戦したいと感じ応募しました。
同月末日に第0楽章の本番を控えているも、快くメンバーが送り出してくれたのを覚えています。感謝しています。
(経緯は、『建築家M』特設ホームページに記してあるのでご参照ください。)


コンペ本番は、11月の寒い日だった気がします。
誰も知り合いもいない現場で肩身の狭い思いをするだろうと予測していましたが、
協会の方々が優しく声をかけてくれたのが印象的でした。

このキャスト3人でしか出せない答えを求め、とにかく話し合いの毎日でした。
それは今も変わりません。
感覚的即興的に乗る、そして戯曲理解にこだわった公演でした。



京都舞台芸術協会 演出家コンペディション  『不動産を相続する姉妹』 稽古風景

                    脚本:田辺剛
             出演:大本淳、溝口明日美、辻京太





そして、
20121月中旬に京都にてワークショップオーディションを行い、
4月初旬に京都で顔合わせとプレプレ稽古、
5月は初旬に東京組プレ稽古、5月中旬には京都組プレ稽古を行いました。

ここで注釈ですが、柏木チームのキャストは、
俳優5名の内、3名が京都在住、2名が東京在住のため、
5月のプレ稽古は、京都組と東京組で分かれて稽古を行ったのです。

キャスト:高杉征司、崎田ゆかり、今井美佐穂(第0楽章)、鈴木正悟、NIWA(ワニモール)

そして、525日(金)より、
629日(金)~72日(月) 京都芸術センター フリースペース
714日(土)~715日(日) 愛知芸術劇場 小ホール
の本番に向けて、京都にて本稽古が始まるわけです。


柏木チームのプレプレ稽古やプレ稽古の様子や内容については、
次回5/28(月)に更新予定です。
今後ともお付き合い頂けると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。

柏木

2012年5月24日木曜日

こちらは筒井チームの稽古場日記です。

筒井本人の演出つれづれから稽古場での出来事、
出演者からの創作風景などを公開していきます。

お楽しみに!
こちらは柏木チームの稽古場日記です。
柏木本人の京都滞在つれづれから演出ノート、
さらに出演者の稽古場日記など創作風景を公開していきます。

お楽しみに!